やさしい個人旅行講座


    海外旅行

オペレーションの現場から

2007年 晩秋





旅行の仕事に就いて気がつけば
もうすでにもう20年近くになることにびっくりしています

それは転職した私にとっては
その年月は「好きなこと」を仕事にできる幸運を
常に感じながらこの業務を担ってきました

この間就職した会社が時代の流れに飲みこまれてしまったり
自身の身の振り方を考え直したり・・・と
決して唯単にずっとストレートに
この業種で働いてきたわけではなかったけれど
1度この旅行業に就いてしまうと
別の職業についても戻ってきてしまう人たちをたくさん知っています

私もそうでしたが
一旦この業界から去ろう、と思って新しい再スタートを切っても
気づくと戻ってしまうのは
やっぱり喜んで下さる方々が居てくれるから・・
という理由も大変大きな要因だと思っています


    


この業界は毎年就職前線のニュースが聞かれる頃
新人さんたちの人気業種にも上げられていますが
(順位はともかくとして・・・)
実際はほんの5本の指にも満たない会社さんのみが
一般企業並みのお給料をいただけるのでは・・・?と思うほど
低賃金ですし、就業時間は長いし、忙しいし、
休日も出勤日にあたる確率は高いし・・・
何と!お天気に左右されること・・この上ありません!

そして、驚くことに実際は旅行会社に就職した私達ほど
他の業種の方々よりも旅行をしていないことも多々あります



それでも旅が好きだし、
前出の「お客さまの楽しかった〜」の一言で
また頑張ろう!と思う気持ちに本当になれるから

業種カテゴリーは“サービス業”になるので
そのような言葉をいただくのは当たり前、とは思うことなく、
やっぱり人がその言葉を発するのは心からの気持ちだと思っているので
その気持ちが、言葉が、私達はとても嬉しい
だから、明日も頑張ろう!と・・・

そんな“人対人”での仕事が
私達を別の業種から再び引き戻す・・・のかもしれません・・
そんな魅力溢れる仕事でもあります

しかし・・“人対人”ということは
ともすれば・・
時には双方に悪い方向へ向かっていくこともあります

それは、“気持ち対気持ち”がうまくかみ合わなかった時
予想以上にそれは大きな嵐にあることがあります

そんな出来事が先月ありました

私自身この仕事に就いて
なんとも後味の悪い・・・チームの皆が
一様に口を閉ざしてしまう出来事でした








【航空会社のスト】

in Paris


雑記でも触れさせていただいたように
先月10月25日から29日まで
某欧州系航空会社の
国内線ストライキが決行されました

通常の報道ではもちろん、解っている範囲では
その航空会社の日本公式サイトでもお客さまへの一切の案内、
説明、謝罪はされていませんでした

私の出稼ぎ会社での仕事は
日本中に売り出している欧州パッケージツアーの
航空関係(エアー)の手配業務(オペレーション)になります



日本全国に配布しているパッケージツアーに関しての
航空座席予約、手配、調整、発券に伴う業務が
私の出稼ぎ仕事でもあり我がチームになります


ツアーのルート、スケジュールに合わせて航空座席を予約手配し、
最後は成田空港から航空機に乗り、
最終目的地へ安心して到着し、
そこから地上手配チームのお仕事になり旅を楽しんでいただき、
そして、旅の終わりにはスケジュール通り帰国してくださるように・・・
通常はこれが私達チームの仕事になります

また、機内で受けられる航空会社サービスを手配したり・・と
行う業務には限りなくあり
未だに新しく勉強しなければならないことが満載です

沢山あるよー

直接お客様からのお申し込みを受ける旅行代理店業務の部署ではないので
日々受ける電話は我が社のパンフレットを置いて
ツアーを売ってくださる“旅行代理店接客される”方々からの問い合わせや

手配をする航空会社からの電話のみになります

ですから、当然私達への「お客様」という電話は
プロの旅行代理店の各支店などのスタッフの方々や
最前線の営業マンの皆さんでもあるわけです

そのような方々からの電話は
もちろん、お客さまからのお問い合わせで
彼等が解らないことを
質問してくるわけですから
知っておかなくてはならないことは
数え切れないほどあります
(荷物の持ち込み制限、車椅子の貸し出し、
薬の持ち込み、お食事のリクエストなどなど・・)

そして、私達の受け答え情報は
そういったスタッフからお客さまへと案内されていくわけです




ご承知のとおり、
おフランス国内は9月から開催した
ラグビーワールドカップでホテルが本当に取れにくく・・
やっと先月20日にその大会の終幕になり
これで落ちついて従来のサービスを提供できる・・と
喜んだのも柄も間
今回のその会社の航空機ストのニュースが飛び込んできたのでした





“何やら明日からストのうわさを聞いたんだけど・・”
まったくそのような話しも出ていなかったその日のお昼前
早速日本のその航空会社さんへ、
事の真意を確かめに問い合わせると
その時の話しでは社内でもはっきりとは本国から聞いていない、という答えでした


“25日から29日まで予定されているが、
国内線のみで
しかも全体の10%にも満たない便数で
当のスト自体は決定もしていない”、というものでした

今までの私の経験では
航空会社のストは路線も便数もほぼ事前に解り
(航空会社が発表するため)
もし、運悪くそのような便に当たってしまったら・・と
お客さまのご利用前に違う便に急遽振り替え作業ができるように
又はこちらでも現地での予定に支障がないように
(到着してすぐに観光があったり、次ぎの都市への乗り継ぎ便などがあるので)
ストを行う航空会社さんでも
極力お客さまにご迷惑がかからないように考慮をします

ところが今回は大元の航空会社からはその発表は一切されず
どの便、どの経路がストライキをするのか・・?
まったく私達には予測もつきませんでした
(これは後になって解ったことですが
日本の支店さんにも本国情報が充分に流れてこなかったようですが・・)

恐ろしかったのは私達が確認のため見た航空端末機で
経路に合わせて予約してあったはずの
パリからの乗り継ぎ便座席予約が
いきなりキャンセルされていたこと・・・

この行為は私達が最も恐れる事態です

それは、確かに日本からパリ行きの国際線ではありませんしたが、
パリを経由してマドリッドやバロセロナなど
日本からの直行便がなく
パリで取り次いで向かう国への都市便が
次々にパリから出なくなってしまいました




ただただ自分達が苦労してルートに合わせた
乗り継ぎ便座席のフライトが次々に飛ばなくなっていく様を
黙って見ているはずはなく
現在飛び立とうとしているツアーも、
すでに現地入りし、行程を続けているツアーも数多い10月・・

まるで悪夢を見ているような気持ちで
とにかく予定通りにお客さまに旅を続けていただけるように
私達は航空端末機と地上手配チームと現地の添乗員さんたちに連絡を取りながら
奔走したのは言うまでもありません

しかし・・どの便が飛ばないかは予測がつかず
結果的にパリ・シャルル・ド・ゴール空港に到着して
搭乗手続きをしたら、
乗るはずの便がキャンセルされていて
別の便への乗り換えも席が確保できずに
立ち往生する添乗員さんたちの焦った電話の大波でした


   


それでも、添乗員さんたちはさすがにベテラン揃いです

現地の地上手配会社さんのスタッフさんたちと情報交換をして
自分達のルートへ行く方法を様々に探し、
手探り状態で何とかこの苦境を乗り越えたツアーグループもあり・・
または国際線の航空会社さんの助けもあり、
事前に解った一握りの便は遅れた別会社に振り替えて
ツアーのお客様には事情を説明し
日程表でのフライトではなくなったしまったことをご理解いただき
何事もなくツアーを楽しんでいただけたグループもありました


しかし・・当初全体の10%という本数とはとても思えないほどの
便が欠航となり
また、週末にかかったために
日本のAFはわずかな職員さんの助けしか得られず・・・
別の国からのお帰り便が間に合わず
人数も多かったグループのために代替便の座席数が確保できず
ご帰国が延びてしまったグループさんもありました

シャルル・ド・ゴール空港での混乱は予想以上で
一旦は預けた大きな荷物がその便が急遽飛ばなくなったために
詰め込み作業が大混乱、
そのために全ての荷物が不明になり
そのこともお客さまにとっても大きなショックでした




*後日その荷物の行方が解り
遅れてパリ本国から戻ってはきましたが・・・・



        


結果、このような場合はストを行った航空会社は
お客さまに対して
お詫び、もしくは謝罪をするか・・・というと
今回はまったくありませんでした




例え、その行為でどれだけのご迷惑とご不安を
お客さまに対して科したとしても
航空会社は沈黙でした

パリで予定外に滞在せざるを得なくなったグループや
そのストのため予定外の行動について掛かった費用についても
まったく関与はしてもらえませんでした

正直・・・その辺は各航空会社さんの「体質」に
各社温度差が大きくあります

実際にそのような場合は
「航空約款」という法があり
航空会社の免責になるので
当然航空会社は責任を負わない、という名目があります

しかし、そうは言ってもお客さまあっての会社運営は
航空会社でも私達旅行代理店でも同じだと思います

がっ!しかし!!
本当に驚くほどに各社の対応が違いすぎることに
正直私達も驚きを隠せませんでした

その部分が所謂“外資会社”と言われる所以なのだと・・・




私自身は欧州班に来て約半年
以前のワイハチームでも同じ業務に就き
その間様々な航空会社さんのとの確執はありましたが、
それでも第一に考えるのは
やはり
「お客様の立場」

百歩譲って
外国航空会社と日系航空会社との同じような温度差はあったとしても
それでも、まだまだ今までのやりとりは
許容範囲であったことに今では思います

少なくともその大事な部分においては
共通最優先事項だったからです




今回1番の被害者はその便をご利用してのツアーに
ご参加してくださったお客さま

結果として私達は旅行代理店として
被害に合われたお客さまの怒りの矛先を
全て受け止めざるを得ない状況になりました

そして、週末をかけて“一生懸命やった”はずの私達の行為は
ことごとくお客さまにはご理解いただけず
逆に一切のお叱りを受けることになりました

上司一同成田空港へ
早朝にその被害に合われたお客さまご帰国のお出迎えと
お詫びに駆けつけました


今回のストで帰国の途につくのに
他社旅行代理店さんのグループは米国周りで帰国、
出発から見れば有り難くない世界一周です

私達は1本、1本のツアーを
ご出発からご帰国まで楽しんでいただくために
世界中同時に席が予約でき航空端末機で
日々皆様の座席を予約するために日々目と頭を駆使しています
それが、私達の業務です



それが、まったく遠い国の1部心ないストライキで
心待ちに楽しみにしていたツアーのお客さま達にとって
残念な結果になってしまったことに憤りを感じます

せめて・・いくら航空約款で「免責」という
“免罪符”を持っていたとしても
多くの方々が残念に思う気持ちを組して
何らかの手を貸してくれたとしても・・・と
思わざるを得ないのです


しかし、日本においての支店航空会社側からの見方をすれば
このような結果しかなかった、という気持ちは別の部分で理解できます
きっと彼等にとっても大切なお客さまの非常事態には
何らかの手を尽くしたかった気持ちも充分にあったであろうことに、
日本サイドスタッフも辛い立場だったでしょう


     



今回のこの“事件”は
私達旅行代理店としても沢山の課題を残しました

今後もこのような出来事は起こり得ます

お客さまに可能な限り旅をご安心してご参加いただけるように
私達はその時それぞれの役割の中で
的確な判断をするために動かなくてはなりません

全てはご帰国後のお客さまの『楽しかった』というお声を聞けるように・・・

本当にいろいろと考えさせられた
欧州班で過ごした半年目の出来事でした















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